一般的な遺言と言えば、自筆証書遺言と公正証書遺言ですが、どちらの遺言を書くといいのかを悩まれる方が多くいらっしゃいます。そのどちらにもメリット・デメリットがあります。
自筆証書遺言
メリット
紙とペンと印鑑があれば自分で書けるためにお金をかけなくても良い。
誰にも言わずに自分で書く事が出来る。
自筆なので、想いが伝わりやすい。
デメリット
ご家族の方等が遺言書を書かれているという事を知らないと、遺言書が亡くなった後に発見されなかったり、生前に紛失のおそれが有る。
他人に偽造される可能性がある。
裁判所での検認の手続きが必要となる。
形式に不備が有ると無効となる可能性が高い。
公正証書遺言
メリット
最終的には専門家である公証人が書くために形式に不備が無いので無効となる可能性が非常に少ない。
原本が公証役場に保管されるため、破棄・偽造・隠匿のおそれが無い。再発行が出来る。
検認の手続きが不要なので、相続開始後の相続手続きがスムーズである。
デメリット
専門家を使うために手間とお金がかかる。
公証のため証人が2人以上必要となる。
つまり簡単に言えば手軽なのは自筆証書遺言で、優れているのは公正証書遺言となります。選択に迷われる事も多いと思いますが、後の問題を残さないための遺言であるならば、迷わずに公正証書遺言をお勧め致します。
法務局における遺言書の保管等に関する法律が2020年7月10日(金)に施行されることとなり、自筆証書遺言のデメリットの一番にあげた「発見されないおそれ、紛失のおそれ」などのリスクは軽減されることとなりました。また、2019年1月13日から施行された、自筆証書遺言の方式を一部緩和する方策によって、書き損じの多かった財産目録の部分を自筆でなくても良いことになりました。
実は、このような改正がされなくてはならないほど、自筆証書遺言の不備というのは多いものでした。せっかく残した遺言書が意味のないものとなってしまいます。
それでは改正がされた後は不備がなくなるかというと、これらの法改正では不備をチェックする機能が無いということに変わりはないのです。遺言書は法律文書の一つです。厳格な様式を求められ、曖昧さが許されず、少しでも間違えると全て「無効」とされる可能性があるものなのです。
法律書を読んでもよく意味がわからないと言われますが、そのような文章を書く必要があるのですから、ハードルが高い部分があるわけです。やはり、専門家の目を通しても不備のない遺言書を残されることが重要かと思います。