正解がないところから始まる

相続についてのご相談を受ける時に感じるのが、相続問題には正解がないという事です。それぞれの相続によって抱えている問題が多種多様でひとつも同じものではないからです。
「遺産を分割すると事業を承継できない。」「分割する遺産は老母の住む家だけだが息子は亡父の遺産を今必要としている。」「妹が全財産を手に入れるために老母に遺言書を書かせた。」などの抱えている問題の内容の違いや、税金を減らすことを一番優先するのか、それとも公平に分割することを優先させたいのか、など相続手続に求めているものの違いもあります。まさにケースバイケースです。それぞれの相続人は各々全く違う相続問題を抱え、誰にでも当てはまる正解を見つけることはできません。

また、長年に積み重ねられてきた簡単に答えを出すことが出来ないような難問題が一気に顕在化するのが相続です。さらに、相続の際には「感情」の問題も多く発生します。それが相続問題の解決をさらに難しくします。時には「争族」と言われる相続人同士の争いとなる事も有ります。

この様に一筋縄ではいかない複雑で多様な問題が起こってしまいそうな時には、一度、ゼロベースまで戻って考え直してみるという事も必要かと思います。誰もが他の相続人の生活や立場も顧みることなく自分だけは、という姿勢ではなかなか問題が解決しません。近年の「空家問題」でも相続問題が解決しないために家を売る事も出来ず、そのままになっているケースも多いと言われています。こうなってしまっては、折角の遺産を誰も活用できない状態になってしまい、得るものがなくなります。本当の「争族」となってしまう前に相続人全員で解決に向けてゼロから話し合う事が必要ではないかと考えます。
また、相続問題を解決するには法律、税金、不動産と多くの知識が必要となってきます。こんな時には一度専門家を交えて話をしてみるのも一つの問題解決の方策です。公平で利害に係わらない立場からのコンサルティングを受けることで相続人全員が納得が出来ることもあります。