自筆証書遺言は自分だけで作成出来る事とお金がかからないという点で、簡単に作成出来ると思われがちですが、形式に不備があると無効となりますので、実際にはとても注意が必要です。

自筆証書遺言のルール

自筆証書遺言が認められるためには最低限の要件があります。

1,全文が自筆である事

全て本人の手書きでなくてはいけません。
パソコンやワープロでの作成は出来ません。ビデオレターや録音等も認められません。カーボンによる複写は認められています。
他人の添え手による補助は、「遺言者に遺言能力が有り、他人は支える程度、他人の意思が介入した形跡がない事が、筆跡から判定出来れば有効」とされています。
遺言書全てを自筆で間違えなく書く事は、かなり大変な作業となります。そこで間違いを修正となるのですが、その修正にも修正の決められた方法があります。手軽な遺言と思われがちな自筆証書遺言ですが、後に「無効」とされないためには細心の注意をもって書くようにして下さい。

2,氏名を自書すること

氏名を自書してある必要があります。
戸籍の氏名でなくても他人と混同が生じなければ有効ですが、やはり住民票や戸籍の氏名と一致させる事が、後の問題を生じさせないためには必要な事と思われます。

3,日付が有る事

日付が無いと遺言書は無効となります。
「吉日」もいけません。吉日では日付が特定出来ませんので、無効となります。反対に日付が特定出来るのであれば、「遺言者○○の70歳の誕生日」と書いても有効です。遺言書は何通かあった時に「一番新しい日付」のものが有効になるので、遺言した日付がとても重要なものと考えられます。

4,押印が有る事

実印である必要はありません。
三文判、認め印、拇印でも有効です。
ちなみに、「花押」は最高裁で無効とされました。三文判で良いのに、「花押」が駄目というのは驚きですが、「重要な文書は署名し、押印することで完結させる慣行がわが国にはある」が「花押を書く慣行はなく、印章による押印と同視することはできない」ということだそうです。
カッコイイ・・・では遺言が無効となりますので、注意をなさってください。

また、遺言書が何枚かに渡る時でも、一通の遺言書として作成してあれば、日付、氏名、捺印は一枚にされていれば大丈夫です。

5,加除や変更等の際に法律通りになされているか

二本線で消して書き直して印鑑、というわけにはいきません。
修正の文字数を入れ、氏名を書き、遺言書に押した印と同じ印を修正箇所に押す、などの必要があります。
加除・修正の方法を誤ると遺言書自体が無効となりますので、とても注意が必要です。

6,自筆証書遺言に限らずですが、共同遺言は禁止されています。

遺言はたとえ夫婦であっても別々に書いて下さい。
よく、夫婦で共同遺言をしたいと希望される方がいらっしゃいますが、互いの遺言に制約が出来てしまう事があるので、法律上禁止されています。無効となりますので、必ず別々の遺言を書いて下さい。

契印されて、一緒に綴られていても、容易に切り離す事ができれば、共同遺言にはあたらないとされていますが、お勧めは出来かねます。

「自筆証書遺言書作成のサポート」もさせて頂いておりますので、ご相談下さい。

関連条文
(自筆証書遺言)
第968条
1,自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2,自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

(共同遺言の禁止)
第975条
遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

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