遺言書を作成するためには「遺言を書く能力」が必要とされています。後にこの能力を疑われると、遺言が無効とされてしまうことが有ります。

遺言書を書く能力

遺言を書く能力の事を「遺言能力」と言いますが、遺言書の内容やそのもたらす結果を知り、理解し、判断できるだけの能力、意思能力があることが必要とされています。

具体的には、まず遺言は15歳以上でなければ書く事が出来ません。

また、成年後見人・被補佐人・被補助人などの制限行為能力者は遺言を書く事が出来ますが、成年被後見人には作成するための条件が付きます。
①能力を一時回復したときであること
②医師2名以上の立会があること
③その医師は、遺言者が遺言作成時に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった事を遺言書に付記して、署名押印をすること

このような条件を満たせば、成年被後見人も遺言書を残す事はできます。しかし、遺言書を書く事は一身専属の身分行為とされ、成年後見人が代理で行う事はできません。

遺言を無効とされないために

では、成年被後見人でない人が遺言を作成する場合はどうでしょう。成年被後見人でなければ、医師の立会等は不要ですが、高齢者や被補佐人や被補助人が遺言を作成する場合、後に相続人の間で遺言能力をめぐってのトラブルが起きる事があります。遺言を作成した当時に「遺言能力」が無かったので、遺言書は無効であると主張されてしまうのです。
そこで、成年被後見人ではなくとも、医師による立ち合いや、医師による付記や診断書を付けておくことを考えておく必要が有ります。
特に、高齢者が遺言を作成する時には後に認知症等を主張されて、遺言が無効となってしまうケースが多々ありますので、遺言書を作成した時点で「遺言能力」があったという根拠を残してしておくことはとても重要です。

・医師の診断書・医学的な証拠・介護記録
・遺言当時のビデオや録音で生活状況を残す
・付言での説明
・遺言当時の能力に応じた遺言の内容(シンプルに)

これらがあれば確実に遺言書は有効となる、というものでは有りませんが、このようなものを残されておくと証拠として役に立つ事があります。


関連条文

(遺言能力)
第961条 
十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

第963条
遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

(成年被後見人の遺言)
第973条
成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。